オイル塗装について

頑固おやじの家具の基本は、環境に優しいオイル仕上げです。
天然の無垢の木の本来の風合いを生かし、木の呼吸を妨げず、使い込む程に風合いが増していく・・・木にも私達にもとても優しい仕上げです。亜麻仁油や蜜蝋等をベースとした植物性オイルを使用し、ハケで何度も塗り重ね、木の内部に浸透させていきます。表面に「塗膜」を作らないため、木本来の自然な風合いが楽しめ、触り心地もすべすべです。とても気持ち良い仕上がりなので、木の自然な表情や、経年変化を楽しみたい方にはおすすめです。また、定期的にオイルを塗る等、お手入れすることで、良い状態を保ちながら、お使いいただくことができます。

只、「塗膜をつくらない」ということは、言い換えれば表面の対傷性が、ウレタン仕上げ等と比べると、あまり強くないと言えるかもしれません。テーブルなどを使用する際は、コースターやランチョンマットを併用する、濡れたグラスなどは放置しないなど、ちょっとした気遣いが必要になってきます。

でもどんなに気をつけていても、汚れやシミを付けずに使用することなど不可能です。それに気ばかり使っていては、クタクタに疲れてしまいます。大切に使っていたのに、汚れやシミがついてしまったら・・・・。そんな時は、表面をサンドペーパー等で削ったり、オイルを塗り直したり・・・と、メンテナンスをして、また、元の状態のように、きれいにお直ししてみましょう。
一般的なオイル仕上げの家具の
メンテナンスの仕方はこちらから
無垢材の家具にとって、ついてしまった傷や汚れは、ご愛嬌。できればそれも、思い出の一つとして、大らかな気持ちで楽しんでいただければと、頑固おやじは思います。10年後、20年後、どんどん変わっていくその家具を存分に楽しんでいただくことができるのもオイル仕上げの醍醐味です。

★頑固おやじでは、オイル仕上げの家具の中にも、色を付けて仕上げている家具もございます。その場合は、経年変化の仕方や、お手入れの方法なども少しだけ変わります。一口にオイル仕上げといっても、家具を造る職人によって、仕上げ方が違います。お気に入りの仕上げ方を見つけるのも、楽しみの一つかもしれませんね。

漆塗り

日本を代表する伝統的な仕上げ方である、「漆塗り」。海外では「漆」のことを、「ジャパン」と呼んでいます。
頑固おやじでは、高級感あふれる漆塗りの家具も皆様におすすめしています。

  • 漆は何から
    できているの?
    漆の正体は「ウルシ」の木からとれる樹脂です。樹皮に傷をつけそこに染み出てくる白い樹液をかきとったものが漆の元となり、この樹液をろ過し樹皮等を取り除いたものが「生漆」と呼ばれます。1本の木からコップ1杯程度しかとれない貴重なものであるため国内の漆は非常に希少価値が高いものとなっています。
  • どうやって
    塗るの?
    生地に漆をヘラで薄く延ばし、余分なものをきれいな布で拭き上げます。この方法を、「拭き漆」または、「摺り漆」ともいいます。漆塗り仕上げの中では最も基本的な塗り方で、素材自体の持つ美しさを充分に引き出すことのできる日本古来の方法です。
  • 「乾く」ではなく
    「硬化する」
    漆独特の乾燥の仕方とは?
    漆が「乾く」メカニズムは、一般的な「乾く」という概念とは大きく異なります。一般的に「乾く」というのは、水分が空気中に蒸発する、というイメージがありますが、漆は全く逆で、空気中の水分を取り込んで硬化します。「乾く」ではなく、「硬化する」のです。
  • 漆が「硬化」
    する条件は?
    漆が「硬化」するためには、十分な湿度と温度が必要です。湿度70~85%、温度20~25℃と、想像しただけでもジメジメしてしまいそうな環境が漆の硬化に必要なのです。これは漆に含まれる、「ラッカーゼ」という酵素が深く関わっています。この酵素が空気中の水分から酸素を取り込み、結合して硬い皮膜をつくります。 そしてこの酵素の活性化に必要な条件が、湿度70~85%温度20~25℃という環境なのです。 ※上記のように、漆は一定の湿度がないと乾かない特性をもっている為、「ムロ」と呼ばれる高湿の部屋の中に漆を塗っては入れる・・・という工程を幾度も繰り返します。 その工程は一般的な拭き漆塗りでも十数回繰り返して行われます。 ※漆の硬化は、長時間にわたってゆっくり進行していきます。仕上がって間もないと、熱い湯やアルコールによって変色してしまうこともあります。その場合はやわらかい布でふきとります。しかし、一度硬化した後の漆は非常に強固で、酸、アルカリ、シンナー等でもびくともしません。ガラスを溶かすフッ素や金を溶かす王水にもおかされない、強靭な性質をもっています。なんと、宇宙で使用する接着剤としてスペースシャトルに持ち込まれたこともある程です!! ※ごくまれに、硬化する前の漆に触れてしまってかぶれてしまった・・・という方がいらっしゃいます。一般的に家具に塗装され十分硬化したものはかぶれなどの問題はありません。只、「ちょっと不安だな…」という方は事前にお問い合わせくださいね。

柿渋塗り

「柿渋」は、まだ青いうちの渋柿を圧搾し、搾り取ったエキスを発酵させ、ろ過したものからつくられています。
独特の風合いと強靭な塗膜力をもつこの「柿渋」は、古来より様々な生活用品に施され、防腐、防水、消臭、染料・・・として親しまれてきました。
最近では、木材防腐剤・合板・MDFなどから発生するホルムアルデヒドを吸着し無害化する効果も認められ、この古き良き素材は様々な分野でとても重宝されているのです。
「柿渋」を塗ることで、木の呼吸をさまたげず、木を保護することができ、経年変化を楽しんでいただくことができます。また、少しだけ、ほほに赤味がさしたような、優しい風合いとなります。
頑固おやじでは一部の家具に柿渋が塗られています。人と地球に優しく、長く付き合える柿渋塗りの家具。皆様に自信をもってお勧めしたいと思います。

ウレタン塗装

ウレタン塗装は、ウレタン樹脂を吹き付けて、木の表面に膜をつくり仕上げる塗装です。
オイル仕上げと違い、表面がコーティングされるので、触り心地も見ためもすこしツルッとした感じに仕上がります、かつては、ウレタン塗装といえば、ツルツルテカテカ、体にあまりよろしくないとも言われていて、ちょっと敬遠しがちでした。
でも最近では「「エコウレタン」なる「体に優しい」うたったウレタンが主流となり、オイル上げになるべく近い仕上がりになるように、ウレタンを薄く塗ったり、ツヤを消したりと、見た目も質感も自然に仕上げるようになりました。
なんといってもウレタン仕上げの最大のメリットは、オイルに比べて日ごろの使い勝手が楽なところです。
木に蓋をしている状態なので、テーブルの上の食べこぼしや水気等はさっとふけば大丈夫。すぐにシミになるようなことはありません。ついた汚れなども、中性洗剤を薄めた布で拭き取ることができます。(一度目立たないところで試してくださいね。)
良いことばかりのように感じる方もいるかもしれませんが、もちろんデメリットもございます。
どうしてもオイル仕上げと比較すると人工的な感じがしてしまいますし、大きな傷や汚れ、ヘコミ等がついてしまった場合は、オイル仕上げのように、自分達でメンテナンスすることはかなり難しくなります。専門的な工場等にお直しにださなければいけません。
また、ウレタンは、年月が経つと次第に摩擦により剥げてくることも。そうなるとオイル仕上げのように経年変化を楽しむという雰囲気ではなくなります。一度ウレタンをはがし再塗装・・・とやはり専門的な工場に修理にださなければいけません。
長く使う上では、自分でメンテナンスできるオイル仕上げに比べると、メンテナンスに時間もお金もかかってしまう・・・ということを知っておくことが大切ですね。