空気がひどく乾燥するこの時期特に
お気に入りにテーブルの天板や家具の扉等に、気づけば「ヒビ」が・・・なんてことはありませんか?
高い家具を買ったのに、なんでこんなことが起こってしまうの!?
と疑問に思うかもしれません。
ここで、「ヒビ」が起こってしまう原因についてお話ししたいと思います。
無垢の板は、家具になっても生きていて、呼吸をしています。
湿気の多い梅雨時は、部屋の中の水分を吸い込んで膨らみます。
逆に乾燥した季節には、自分の中の水分を吐き出して縮みます。
環境に応じて水分をすったり、吐き出したり・・・。これを木の呼吸(調湿効果)と呼んでいます。
水分を吸ったり吐いたりする過程の中で、木の繊維の引っ張り合いがおこり、
その結果、「ヒビ」や割れが起こってしまうのです。
乾燥が気になる今年の冬から春にかけて、みなさんのお気に入りの無垢材の家具たちは、
水分をどんどん吐き出して、お腹の中で引っ張り合いっこ・・・。
気付けば天板に「ヒビ」が入ってしまっていた・・というわけなのです。
そうなのです。
無垢材の家具に「ヒビ」がつきもの・・。100%防止することは難しい。
ヒトも生きている限り呼吸はします。木だって同じ。家具になっても生きています。呼吸もします。
まず、そのことを受け入れて、木の自然な動きを楽しむくらいのおおらかな気持ちが必要かもしれません。
では「ヒビ」に気を付けるにはどうすればいいのでしょう・・・?
●お部屋の湿度に気をつける
冬場、暖房をかけたお部屋は特に乾燥しています。
加湿器を使用する等、湿度のコントロールが必要です。
これは家具だけでなく、ヒトにとっても大事な事。
乾燥しすぎると、肌がカサカサになったり、風邪をひきやすくなったりあまり良いことはありません。
適度な湿度を保つことが大事なのです。
●家具の置き場所に気をつける
エアコンの風やストーブの熱気がダイレクトに家具にあたる場合は、少し置き場所をずらしましょう。
直射日光もあまり好ましくはありません。紫外線によって家具の劣化を進めてしまう時もあるのです。
これまたヒトの肌と同じですね。紫外線はお肌の大敵。UV効果のある塗料なんかもありますが
まずは、レースを引いたり、窓際から少し離したり・・・家具の置き場所にも工夫が必要です。
●日ごろから、ちょっとだけ家具をいたわってあげる
毎日使うものだから、あまり気を使いすぎるのも窮屈かもしれません。
でも少しだけ、優しく扱ってあげて下さい。
例えば、水に濡れたら、ちゃんと拭いてあげる。
ご飯を食べるときはランチョンマットを使ってあげる。
たまにオイルを塗ってあげる。などなどです。
特に、濡れたものを置きっぱなしにしたりすると、水分が蒸発する過程で
家具に負担がかかって「ヒビ」の原因になったりします。
日頃から、ちょっとだけでも家具に優しくしてあげることがやっぱり大切なのです。
●ウレタン塗装を施す
オイル仕上げとウレタン仕上げ、この二つの塗装を比べると、どちらかというと
ウレタン仕上げの方が「ヒビ」は入りにくいと思います。
これは、ウレタンの塗装膜で、木に蓋をしてしまうから。
つまり、木の呼吸を抑制してしまうからなんです。
この「オイル塗装」と「ウレタン塗装」、
二つの塗装のメリット、デメリットは、ここでお話するとちょっと長くなるので
やめときます。詳しくはこちらをご覧くださいね。「塗装について」
ちなみに、頑固おやじの家具は
無垢材のテーブルの天板の裏側や、扉の裏側などには反り止めが入っています。
木製のものだったり、金属製のものだったりと様々です。
これは木の呼吸による伸縮を制限する工夫の一つです。
その他にも、板のはぎ方に気を付ける等家具を製作する段階で、
木に負荷がかかりすぎないよう十分気をつけながら
出来る限り安心して皆様にお使い頂くために、様々な工夫をするようにしています。
でもどんなに頑張っても、どうしてもヒビが入ってしまう時があります。
木が生きている限り・・・。
ヒビが入ってしまったらどうすればいいのでしょう?
もしお気に入りの家具に「ヒビ」が入ってしまったら・・・。
頑固おやじでは、「ヒビ」の状況にあわせてこんな風に対応しています。
●「ヒビ」の状態がそれほど深刻じゃない場合は、表面の段差などをペーパーで研磨して
オイルを塗って様子をみる。
「ヒビ」の状態がそれほど深刻じゃない場合は、もしかしたら梅雨時、湿気のある状態になった時
その「ヒビ」が元の状態に戻っている可能性があるのです。
木は四季を通して呼吸し続けます。
空気が乾燥したら、自分の中の水分を吐き出して、空気がじめじめしたら、
自分の中に空気中の水分を取り込んで・・・。
その都度膨らんだり縮んだり・・・。
実際冬に入ってしまった「ヒビ」が、梅雨時には気にならなくなった・・・という事も多いのです。
「ヒビ」が入ってしまったら、目立たない状態まで戻してあげて、少し様子をみる・・・。
一番自然な対処法方法です。
●ヒビを埋める
ちょっと深刻な時や、どうしても気になる時は、梅雨を待たずして埋めてしまうことも
あります。埋める素材は状況によって様々ですが、だいたい、同じ木の粉を固めて
埋めることが多いです。ヒビから割れへと状況がさらに深刻になった場合は、
「ちぎり」を入れて対処することもあります。
●板をはぎ直す
オイルを塗ったり、埋めたりしてもちょっと修復不可能な場合は、その部分を取り換える(ハギ直す)
・・・という方法もあります。
ダイニングテーブルなどは、4、5枚の板を接合して、一枚の天板に仕上げているものがほとんどです。
(ハギ板といいます。)
ハギ板のちょうど接合部に隙間が空いてきたり、離れてきたり・・・。
買ったときはちゃんとくっついていたのにどうしよう・・・。
隙間がほんのちょっとなら、オイルを塗って様子を見たりするときもあります。
でも目で見て判断して、ちょっと修復不可能だな・・・という場合
離れてきた所をもう一度新しい板にはぎ直すという方法をとる場合もございます。
この方法、新しい家具ならそれほど気にならないのですが
何年もお使い頂いたものだと新しくしたその部分だけ色が違ってしまいます。
板は経年変化で見た目がどんどん変化して、色が濃くなったり明るくなったりするのです。
経年変化した色に新しい色を人工的にあわせるのは至難の業。
ですから新しく剥ぎ直した部分だけ、ちょっと色が変わってしまったりするのです。
でもそれもご愛敬・・・と楽しんでお使い頂きたいなと思います。
ちなみに家具をつくっている職人によって、対応の仕方が違うので
これらの対処方法は、すべての家具に当てはまるものではありません。
また、こちらから「こうしてください!!」やり方を指定するわけではなく、
家具の状態を見ながら、その家具をつくった職人の意見を尊重しながら行うようにしています。
いずれにしても、お使い頂いている家具の状態を確認し
スタッフと家具をつくった職人が、それぞれの家具を
最善の方法でお直しするようにしてます。
安心してお使い頂くためにしっかりとサポートします(^^)
いかがでしたか?
ぜひ皆様には無垢材の特徴を理解していただきつつ、楽しみながら使って頂きたいなと思います。